御社では、パートやアルバイトを採用する際、労働条件通知書をどのように交付していますか。
「入社時に渡している」
「署名ももらっている」
そのように運用している企業が多いと思います。
しかし、契約内容が実態と一致しているか、本人が内容を十分に理解しているかという点まで確認できているでしょうか。
2026年4月の制度変更を前に、今一度、自社の運用を見直すタイミングが来ています。
労働条件通知書とは何か
労働条件通知書は、労働基準法第15条に基づき、雇入れの際に労働条件を書面で明示することを義務付けたものです。
賃金、労働時間、就業場所、業務内容など、働くうえで重要な条件を明確にするための書面です。
署名は法律上の必須要件ではありませんが、後日のトラブル防止の観点から、受領確認や合意の記録を残しておくことが望ましいとされています。
トラブルは “条件のずれ” から始まる
労務トラブルの多くは、「聞いていた内容と違う」という小さな食い違いから始まります。
企業側は「口頭で説明したはず」と考えていても、実際に問われるのは、
どのような条件で合意していたのかという客観的事実です。
口頭説明だけでは、時間が経てば記憶はあいまいになります。
だからこそ、労働条件通知書の内容が重要になります。
形式的に書面を交付するだけでなく、
- 本人の前で内容を確認する
- 賃金や労働時間など重要事項を丁寧に説明する
- 条件変更があれば書面も更新する
といった運用が、将来のリスクを減らします。
2026年4月、何が変わるのか
2026年4月から、健康保険の被扶養者認定の運用が見直されます。
今回の見直しでは、扶養に入れるかどうかを判断する際に、契約書に書かれている労働時間や賃金をもとに収入を見込むことがより明確になりました。
つまり、契約書の内容が、これまで以上に重要になります。
たとえば、時給1,250円で週20時間と契約に記載されている場合、
1,250円 × 20時間 × 52週 = 130万円となります。
扶養の基準は「年間収入130万円未満」です。
契約上の年間見込みがこの水準に達する場合、扶養認定が難しくなる可能性があります。
また、実際の働き方と労働条件通知書の記載にずれがあると、扶養認定の場面で問題が生じることがあります。
今、確認しておきたいこと
制度変更を前に、次の点を確認してみてください。
- 全従業員に労働条件を明示した書面を交付しているか(パート・アルバイト含む)
- 記載された労働時間・賃金は現在の実態と一致しているか
- 条件変更の際に書面も更新しているか
- 本人が内容を理解したうえで、確認しているか
特に、時給改定やシフト変更を行っている企業では、書面が過去の条件のままになっていないか注意が必要です。
まとめ
労働条件通知書は、法律上の義務であると同時に、会社を守るための重要な書面です。
2026年4月以降は、その記載内容がこれまで以上に意味を持つようになります。
形式的に交付するだけでなく、
実態と一致しているかを確認し、合意内容を明確にしておくことが、これからの労務管理において重要になります。
まずは、自社で使用している労働条件通知書を一度見直してみてください。

