▶ 原則として、「忙しい」という理由だけで有給休暇の取得を拒否することはできません。
労働者には「希望する時期に有給休暇を取得する権利(時季指定権)」があるためです。
ただし、どうしても業務に重大な支障が出る場合に限り、会社側には取得時期を変更してもらう権利(時季変更権)が認められています。
判断のポイント
原則: 有給休暇は、労働者が指定した時期に取得させる必要があります。
例外: 「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社は時期の変更を請求できます。
認められるのはあくまで「時期の変更」であり、有給休暇の取得そのものを「禁止」することはできません。
よくある誤解・間違えやすい例
- 一律の制限: 「繁忙期の1ヶ月間は有休取得禁止」といった社内ルールを設けること。
- 定型的な却下: 人手不足を理由に、状況を精査せず自動的に却下すること。
- 努力不足: 代替要員の調整や業務スケジュールの見直しを検討せず、安易に変更権を行使すること。
注意! 慢性的な人手不足は、時季変更権を行使できる正当な理由とは認められにくい傾向にあります。
実務上のポイント・注意点
個別判断の徹底: 「誰が休むことで、どの業務に、どのような具体的支障が出るのか」を客観的に説明できる必要があります。
代替策の検討: 他の社員によるバックアップが可能か、納期を調整できるかなど、会社側が「取得させるための努力」をしたかどうかが問われます。
計画的付与制度の活用: 労使協定を結ぶことで、あらかじめ計画的に有休を割り振る制度を導入すると、繁忙期の混乱を避けやすくなります。
まとめ
「忙しいからダメ」という一言で済ませるのではなく、まずは取得できるように調整を試みることが法的なリスク回避に繋がります。日頃から業務の属人化を排除し、チーム内でサポートし合える体制を整えておくことが、安定した企業経営の鍵となります。

