▶ 固定残業手当を入れたとしても、「どれだけ残業しても残業代を払わなくていい」わけではありません。
実際の残業時間が、設定した時間を1分でも超えた場合は、その差額を精算して支払う義務があります。
基本的な考え方
固定残業手当(固定残業代)は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う仕組みです。
ただし、これは「残業代を払わなくてよくなる制度」ではなく、残業代の支払い方法の一つにすぎません。
労働基準法では、法定労働時間を超えて働かせた場合、割増賃金を支払うことが義務付けられています。
固定残業手当を導入しても、この原則自体は変わりません。
具体的なケース
例えば、月20時間分の固定残業代を払っている社員が、実際には30時間残業した場合、
10時間分の不足額をその月の給与で追加支給しなければなりません。
逆に、残業が5時間しか計算されなかった場合でも、あらかじめ約束した固定残業代を減額することはできません。
注意点
- 固定残業手当があっても、労働時間の管理は必要
- 想定時間を超えた残業分を支払わないと、未払い残業代になる
- 「固定残業手当があるから残業代は出ない」という説明は、誤解を生みやすい
- 制度が曖昧だと、固定残業手当そのものが否定されるリスクもある
まとめ
固定残業手当は、
「残業代をまとめて前払いする仕組み」であって、「残業代を払わなくていい制度」ではありません。
制度を使う以上、労働時間の把握と超過分の支払いは避けて通れません。
制度設計や運用に少しでも不安がある場合は、
一度自社の仕組みを整理してみることが、将来のリスクを減らすことにつながります。

